* Z-@実務経験の範囲の拡大−2.児童養護施設等の保育士の位置付け |
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意見1)
乳児院の保育士および児童指導員への適用範囲の拡大を求める
今般、見直しの対象となる「保育士」の範囲は、児童福祉施設のうち、生活指導または職業指導が最低基準に、相談および援助が指定基準にサービスとして位置づけられている施設に限られている。
乳児院は児童福祉法第37条に、入所児の養育を行うこととともに、退所児について「相談その他の援助を行うことを目的とする施設」とある。最低基準には、児童養護施設等同様、看護師配置に替えることができる職員として保育士と児童指導員が記載されており、児童指導員は明確に「児童の生活指導を行う者をいう」とある。
乳児院は、保護者の養育環境が整うことが家庭復帰の条件となる。児童指導員ならびに保育士は、乳幼児が家庭復帰できるよう、保護者に対し、親子がともに暮らすための養育の指導、生活相談・援助を行っている。これは、保護者に対する対人援助であり、まさに相談援助業務、ソーシャルワーク機能である。こうした施設現場での日常的なかかわりと経過は、法律に定められる退所(家庭復帰率約7割)後の親子支援を実施するための、保護者を対象とした家庭環境調整が前提となっている。
また、24時間365日の養育を行っている乳児院が、夜間など時間を選ばずもちこまれる養育相談に対応することも、多くは保育士や児童指導員が支えている。さらに昨今、精神的な疾患をかかえる保護者への対応も増加している。
しかしながら実態として相談援助業務を担っているにもかかわらず、乳児院の児童指導員だけには、社会福祉士国家試験の受験資格に必要な実務経験が認められていない。
相談援助業務が制度的に位置づけられているという理由で、保育士に実務経験の適用範囲を拡大するならば、他種別施設と同じく、乳児院の保育士および児童指導員に実務経験を認め、対象の拡大を検討されるよう求める。
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意見2)
母子生活支援施設の少年指導員および保育士への適用範囲の拡大を求める
母子生活支援施設における少年指導員は、最低基準に配置が定められており、少年を指導するとともに、母子指導員と連携し母子に対する相談援助を行っている。
また、最低基準により、保育所に準ずる設備を設けるときは、保育士を配置することとされている。この保育士は、施設利用者ならびに地域に生活する母子家庭等の児童に対する保育サービスの提供と子育て等に関する相談援助を行っている。
こうしたことから、母子生活支援施設の少年指導員および保育士についても、実務経験の対象とすることを求める。
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意見3)
乳児院、児童養護施設等の家庭支援専門相談員への適用範囲の拡大を求める
家庭支援専門相談員は、「乳児院等における早期家庭復帰等の支援体制の強化について」(雇用均等・児童家庭局長通知/平成16年4月28日雇児発第0428005号/平成18年4月3日付一部改正)によって、その配置が定められている。
家庭支援専門相談員は最低基準に配置が記されていないが、昨今の子育て家庭の厳しい問題に鑑み、「家庭環境上の理由により入所する児童の割合が増加しており早期の家庭復帰等を支援するための体制を強化する必要がある」ため配置された職種であり、平成16年度からは、国においても常勤化予算が確保されるに至った。
通知に明記された配置目的には、「入所している児童の保護者等に対し、児童相談所との密接な連携のもとに電話や面接等により児童の早期家庭復帰、里親委託等を可能とするための相談・指導等の支援を行う」こととされている。
またその業務内容は、入所中・退所後を問わず、保護者や里親への養育相談、養育指導、児童への生活相談の継続、地域の子育て家庭に対する育児不安解消のための相談・支援等と示されており、まさに「相談援助業務」を担う職員である。
しかるにこれまで、最低基準にその職種が記されていないことから、家庭支援専門相談員は、児童福祉施設における相談援助業務の中核を担っているにも関わらず、その業務実態が国家資格受験資格の実務経験対象とされていない。
平成19年11月の、「社会的養護体制の充実を図るための方策について」(社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書)においては、児童福祉問題の重篤化に対し、児童福祉施設職員の質の向上、研鑽を求めている。近年保護者や子どもたちがかかえる厳しい問題を解決に導くためには、専門的な相談援助技術をもった児童福祉施設職員がますます重要となる。
今般の機会を捉え、家庭支援専門相談員の実務経験を対象範囲に含めることを求める。 |
平成20年1月10日
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