9月9日 第171号

心理療法担当職員の常勤化 大学進学等自立生活支度金の創設などを要求
平成18年度厚生労働省概算要求 〜三位一体改革対応は含まず〜

 厚労省は平成18年度予算の概算要求を財務省に提出しました。一般会計の要求額は今年度比7,237億円(3.5%)増の21兆5,415億円。義務的経費のうち、年金・医療等の経費が8,000億円の自然増が見込まれているものの、これを、削減・合理化により5,800億円の伸びに圧縮することとされています。
 また、年金・医療とその他の義務的経費の合算は厚労省要求額全体の95.3%を占める20兆5,336億円となっています。
 裁量的経費、公共投資関係費については、各省庁の要望をふまえ、予算編成過程において総額1,000億円を上限に加算することができるとされていることから、裁量的経費は今年度比982億円(17.6%)増の6,562億円、公共投資関係費は493億円(20.3%)増の2,917億円となっています。
なお、この概算要求提出にあたっては、8月8日に衆議院が解散された後、8月11日に概算要求基準(シーリング)が閣議決定されたうえで作成されたものであるため、シーリングそのものが暫定的ななものとして取り扱われています。また、三位一体改革に関する取扱いについては、予算編成過程で検討することとされています。

<児童養護施設関係の新規要求内容>
 今回の概算要求に盛り込まれた児童養護施設関係予算のうち、新規要求内容は次のとおりです。

 (1) 心理療法担当職員の配置の充実(=常勤化) <1,482百万円>
※児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設に配置している心理療法担当職員の常勤化。
※児童自立支援施設に心理療法担当職員を配置。
 (2) 家族療法事業の児童養護施設等への対象拡大 <233百万円>
(1)と関連して、現在、情緒障害児短期治療施設で行われている「家族療法事業」を児童養護施設、乳児院、児童自立支援施設にも拡大。

 平成17年度における本事業費は、(1)実施のべ家族数が年間125家族以上の1施設あたり年額 200万4千円 (2)同 125家族未満 100万2千円。現行の情緒障害児短期治療施設で行われている「家族療法事業」については「児童福祉施設(児童家庭局所管施設)における施設機能強化推進費について(昭和六二年五月二〇日)(児発第四五〇号)(各都道府県知事・各指定都市・各中核市市長あて厚生省児童家庭局長通知)」を参照のこと。
 (3) 大学進学等自立生活支度金の創設 <15百万円>
大学、短大、専門学校への進学のための支度費(措置費加算分、現行の就職支度金並びの額)
 (4) 児童相談所等の体制強化
暫定定員を設定している児童養護施設及び乳児院において、暫定定員を超えて認可定員に達する範囲内で一時保護を受託した場合に事務費の日割り支弁を行う。

(仮に、一般事務費単価が12万円の児童養護施設であれば、1日あたり約4,000円の事務費が支弁されます。また、一般生活費分=1,560円は従来通り支弁されるため、合計約5,500円が一人あたりの1日分の一時保護受託単価となります。被虐待児の場合はさらに860円が加算されます。)

 今回の概算要求内容に盛り込まれている内容は、皆様の施設にご協力いただいた調査結果に基づき、全養協が厚生労働省に要望してきたものばかりです(全養協情報25 P28〜に「要望書」が掲載されていますのでご参照ください)。
 なお、これらは厚生労働省の概算要求であり、今後、財務省との折衝により予算編成時に変更となる可能性があります。

ナショナルミニマムとは何か。地方三位一体改革案への対応も検討
「地方分権・地域福祉推進と児童養護施設のあり方検討特別委員会」

 前号でお知らせしたとおり、「地方分権・地域福祉推進と児童養護施設のあり方検討特別委員会」(中田 浩 委員長)は、8月25日に第2回委員会を開催し、委員からのレポートをもとに「児童福祉におけるナショナルミニマムとは何か」と「東京都のサービス推進費補助の仕組みと課題」について協議・検討を行いました。あわせて、三位一体改革案への対応についても検討を行っています。
 9月11日の総選挙結果によっては情勢が大きく変化することも予想されますが、現時点における論点の整理をすすめています。

厚生労働省人事異動(雇用均等・児童家庭局)8月26日付

 平成17年8月26日付で厚生労働省(雇用均等・児童家庭局)の人事異動が発令されましたので、雇用均等・児童家庭局関係についてお知らせします。

新職名 氏名 前職名
雇用均等・児童家庭局長 北井 久美子 大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当)
辞職 伍藤 忠春 雇用均等・児童家庭局長
大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、生活保護担当) 白石 順一 大臣官房付
総務課長 香取 照幸 老健局振興課長
家庭福祉課長 清川 啓三 大臣官房統計情報部賃金福祉統計課長
大臣官房会計課長 井 康行 雇用均等・児童家庭局総務課長
労働政策担当参事官 山田  亮 家庭福祉課長

全養協・事務局から

第59回全国児童養護施設長研究協議会にご参加ください 9月30日(金)締切
〜児童文化奨励絵画展 松島賞 永年勤続もお願います〜

児童養護施設基礎調査は提出されましたか?

 8月末日までのご提出をお願いしていた「児童養護施設基礎調査」の回答が全養協事務局で確認できていない施設におかれましては、「再依頼」文書を同封しています。ご協力ください。