12月27日 第173号

大学進学等支度金 創設 心理療法担当職員の常勤化も 
平成18年度 国家予算政府案 閣議決定 12月24日

子ども家庭関係予算の着実に増額
 財務省は平成17年12月20日に各省庁に対し、平成18年度予算内示を行いました。復活折衝を経て、12月24日(土)の閣議において政府案が決定し、年明け1月20日に開会される通常国会に提出されます。
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局関係の予算案は、先の三位一体改革(児童扶養手当の国庫負担率の変更、公立保育所整備費の一般財源化など)の影響を大きく受けたものとなり、児童福祉関係予算では、前年度比22%減額の8,639億円となりました。しかし、三位一体改革の影響を除いた場合は、対前年比13.2%増となり、子ども家庭関係予算は着実に増額されています。

児童養護施設関係予算も大幅な改善
 児童養護施設関係では、全養協が長年、当局に要望してきた「大学進学等支度金」が創設されます。金額は就職支度金並びです。さらに、心理療法担当職員の常勤化が図られ、現在、情緒障害児短期治療施設で行われている「家族療法事業」を児童養護施設も実施することが可能になります。これにより退所児童のアフターケアを行う際の財源確保の一部が図られました。
 また、一時保護児童を受託するにあたり、これまで生活費分しか児童相談所から支弁されなかったものが、事務費も日割りで支弁されることになりました(暫定定員施設のみ)。
 なお、「小規模グループケア」や「ファミリーソーシャルワーカー」については引き続き予算化されていますが今後も予算確保されるかは、現場での効果ある予算執行が大前提です。特に小規模グループケアの実践は、各児童養護施設にとって重要な取り組みであることを今一度ご確認いただきますようお願いします。

平成18年度 子ども家庭福祉関係等予算(案)の概要

1. 要保護児童対策の推進 (平成17年度予算 → 平成18年度予算案)
※【   】は見込
(1) 施設の小規模化の推進(22.98億円 → 23.73億円)
@ 小規模グループケアの推進
(15.01億円 → 15.76億円、527か所 → 549か所)
A 地域小規模児童養護施設(7.97億円 → 7.97億円)
(2) 児童福祉施設における支援体制の強化( 未確認 → 66.49億円
@ 心理療法担当職員の配置の充実( 未確認 → 12.76億円)【@約540万円】
 児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設に配置している心理療法担当職員(非常勤)の常勤化【1名】。及び児童自立支援施設に心理療法担当職員(常勤)を配置。
A 家族療法事業の児童養護施設等への対象拡大( 未確認 → 1.91億円)
 情緒障害児短期治療施設で実施している「家族療法事業(入所している子ども及びその家族全体に対して心理療法等を行う事業)」について、児童養護施設等の心理療法担当職員の常勤化等に併せ、児童養護施設、乳児院及び児童自立支援施設に対象を拡大する。
【平成17年度の事業費は、〈1〉実施のべ家族数が年間125家族以上の1施設あたり年額 200万4千円。〈2〉同 125家族未満 100万2千円】
B ケア担当職員の質的・量的充実(48.93億円 → 48.98億円)
FSW、被虐待児個別対応職員の配置。
C 大学進学等自立生活支度費の創設( 0 → 0.12億円)
 児童養護施設、児童自立支援施設、情緒障害児短期治療施設に措置入所している子ども、もしくは里親委託されている子どもで大学等に進学するため施設等を退所する子どもに支給。就職支度費並び。
      ◎支度費   @ 69,000円
      ◎特別基準分 @137,510円
2. 児童虐待防止対策 (平成18年度予算案)
(1) 早期発見、早期対応体制の充実
@ 児童相談所等の体制強化
「児童相談所実績調査結果」及び「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会の中間的な議論の整理」等を踏まえ、以下の取組を推進する。
◎児童虐待防止対策支援事業のカウンセリング強化事業に、親支援を強化するため、地域の医療機関等と協力し、児童相談所における治療計画の作成や、親子治療、家庭訪問治療等を行う家族療法事業を加えるなど、児童虐待防止対策支援事業の充実を図る。
<児童虐待・DV対策等総合支援事業>
◎一時保護所に保護されている子どもの行動観察や、心のケアを行う心理療法担当職員を全ての一時保護所に配置する。(0.91億円)【児童相談所の経費】
◎暫定定員を設定している児童養護施設及び乳児院において、暫定定員を超えて認可定員に達する範囲内で、一時保護を受託した場合に事務費の日割り支弁を行う。
【仮に、一般事務費単価が12万円の児童養護施設であれば、1日あたり約4,000円の事務費が支弁されます。また、一般生活費分=1,560円は従来通り支弁されるため、合計約5,500円が一人あたりの1日分の一時保護受託単価となります。被虐待児の場合はさらに860円が加算されます。】
◎一時保護児童が入院した際に、一時保護所の職員が付き添いを行うために必要となる代替要員を確保するための経費を参入する。(0.08億円)【児童相談所の経費】
◎平成17年度から実施している一時保護委託における虐待を受けた子どもの受入加算の対象施設について、障害児関係施設まで拡大する。(0.22億円)
◎一時保護所費、一時保護委託費にかかる一般生活費について、乳児用単価を設定する。
【1日あたり1,800円】
(2) 児童家庭支援センターの設置推進<児童虐待・DV対策等総合支援事業>
「子ども・子育て応援プラン」に基づき、平成21年度までに全国100か所を目標。
(3) 虐待防止ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置促進(ソフト交付金)
「子ども・子育て応援プラン」に基づき、平成21年度までに全市町村での設置を目標。
3. 次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金)(339.56億円)
<主な事業>
  ◎つどいの広場事業
  ◎育児支援家庭訪問事業
  ◎ファミリー・サポート・センター事業
  ◎子育て短期支援事業(ショートステイ、トワイライトステイ)
  ◎延長保育促進事業
  ◎乳幼児健康支援一時預かり事業
新◎地域における児童の安全確保の取組(平成18年度限りの措置)
4. 次世代育成支援対策施設整備交付金(ハード交付金)(140.00億円)
 三位一体改革により、平成18年度から、公立保育所、児童相談所(一時保護施設を除く)、婦人相談所(一時保護施設を除く)に係るハード交付金は一般財源化。

ファミリーソーシャルワーカーのための研修会
平成18年2月13(月)・14(火) 全社協・灘尾ホールで開催

 昨年度に引き続き、「ファミリーソーシャルワーカーのための研修会」を開催します。今回は、ファミリーソーシャルワーカーの具体的な業務内容について掘り下げることができる内容となっています。
 開催要綱は、平成18年1月上旬に各施設に配布する予定です。

三位一体改革と児童養護施設セミナー(仮称)
平成18年3月1日(水) 全社協5階会議室(東京都千代田区霞が関)

 政府は地方6団体等と12月1日に「三位一体改革」について合意しました。その内容は、児童手当および児童扶養手当の負担割合を国1/3、地方2/3とすることや公立保育所などの施設整備費の一般財源化などです。懸念された児童養護施設等の児童入所施設措置費および施設整備費は、従来通りで決着しました。これは、全国の全養協協議員、児童養護施設関係者の皆様が、緊急に国会議員をはじめとする関係者への強力な働きかけを行った結果です。
 全養協・地方分権・地域福祉推進と児童養護施設のあり方検討特別委員会(委員長:中田 浩)では、この間、5回にわたり委員会を開催するとともに、全国の都道府県・指定都市へのアンケート調査などを通して、「地方分権」「地域福祉」「ナショナルミニマム」などについて検討・協議を重ねてきました。
 平成17年度における中間的なまとめを公表する場として、上記のセミナーを開催する予定です。詳細は後日、ご案内しますが、各都道府県児童養護施設組織の幹部の方々を対象とする予定です。

「平成17・18年度 全国児童養護施設一覧」発行しました
〜内容のご確認をお願いします〜

 過日お願いした「基礎調査」に基づき、「平成17・18年度 全国児童養護施設一覧」を発行しました。各都道府県・指定都市ごとの施設一覧については、協議員あるいは県養協事務局によりチェックしていただいたところですが、万一、記載に誤り等があった場合には、お手数ですが全養協事務局まで、FAXもしくはメールでお知らせください。
 なお本誌は、「非売品」であり、余部はございません。また、全養協HPには、平成17年12月現在の施設名と住所を掲載していますので、あわせてご覧ください。

平成17年度 JOMO児童養護施設・母子生活支援施設
就学助成事業のご案内

新入学10万円、在学生5万円
  全国社会福祉協議会は、平成15年度より実施している上記事業につきまして、今年度も引き続き実施します(詳細については、年明けに「実施要領」を各施設宛に送付)。
  また、本事業のスポンサーである株式会社ジャパンエナジー様より、本事業の財源となっている童話集「童話の花束」が送付されますので、ご承知おきください。

事務局からのお知らせ 全国児童養護施設協議会・事務局(須藤、楠(くす))
平成18年度 メイスン財団奨学制度(平成17年度からの継続および平成18年度新規入学分)の要項は、平成18年1月13日開催予定の全養協・総務部会で検討し、2月末までにご案内する予定です。
この間、複数の児童養護施設関係者から「特定非営利活動法人 エキスパート児童福祉協会」について、「全養協が関与しているのか」とのお問合せを受けました。
 「エキスパート児童福祉協会」の常務理事が全社協・児童福祉部にお越しになり、進学・就職助成事業についての説明を受け、施設リストの提供を求められたことはありますが、「共催」「後援」といった「協力」は行っておりません。
平成17年度 全養協会費および「季刊児童養護」購読料の納入は、平成18年3月までにお済ませください。未納の施設等には、平成18年2月頃に督促状を送付します。