9月4日 第177号

児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実〜平成19年度厚生労働省予算概算要求〜

 厚生労働省は、8月25日、平成19年度予算の概算要求をまとめ、財務省に提出しました。
 一般会計の要求額は今年度予算比6,645億円(3.2%)増の21兆6,062億円となりました。このうち、年金・医療等にかかわる社会保険関係費については、高齢化による7,700億円の自然増が見込まれていましたが、制度改革等の削減・合理化により概算要求基準枠内の5,288億円増となりました。

 児童養護施設を所管する雇用均等・児童家庭局予算のうち、児童福祉関係予算(9,289億円)は前年度予算(8,739億円)に比べ6.3%の伸びとなりました。
 概算要求は、「人口減少社会の到来を踏まえた少子化対策の総合的な推進と公正かつ多様な働き方の実現」を掲げ、「子ども・子育て応援プラン」や「新しい少子化対策について」をもって少子化対策を推進するとしています。

児童養護施設関係の新規要求内容
 今回の概算要求に盛り込まれた児童養護施設関係予算のうち、新規要求内容は次のとおりです。
1) ケア担当職員の質的・量的充実(58億39百万円)
@ 児童養護施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設および情緒障害児短期治療施設の個別対応職員の常勤化。
A 乳児院の家庭支援専門相談員の拡充
2) 総合的な子どもの自立支援の推進等
身元保証人確保対策事業の創設(児童虐待・DV対策等総合支援事業:統合補助金20億35百万円の内数)
児童養護施設等を退所する子ども等が、親がいない等の理由により身元保証人を得られず、就職やアパート等の賃借に影響を及ぼすことがないように身元保証人を確保するための事業。

児童養護関係その他の要求内容
1) 施設の小規模化の推進(32億49百万円)
@ 小規模グループケアの推進(16億63百万円) 549→580ヶ所
A 地域小規模児童養護施設の設置の推進(15億86百万円) 100→200ヶ所
2) 児童福祉施設における支援体制の強化(75億95百万円)
大学進学等自立生活支度費の改善(12百万円)
大学進学等自立生活支度費の引き上げ  69,000→71,000円
これら厚生労働省の概算要求は、今後財務省との折衝により、予算編成時に変更となる可能性があります。

厚生労働事務次官に、辻 哲夫氏、雇用均等・児童家庭局長に、大谷 泰夫 氏
家庭福祉課長に、藤井 康弘氏が就任〜厚生労働省人事異動〜

 厚生労働省は、9月1日付人事異動を発表しました。それによれば、新厚生労働事務次官には、辻 哲夫氏(前厚生労働審議官)が就任し、雇用均等・児童家庭局長に大谷泰夫氏(前総務省大臣官房審議官(公営企業担当))、家庭福祉課長に藤井康弘氏が就任しました。
なお、前厚生労働事務次官の戸苅利和氏は辞職、前雇用均等・児童家庭局長の北井久美子氏は、中央労働委員会事務局長に就任されました。


<雇用均等・児童家庭局/家庭福祉課関係の異動(主な方々)> (敬称略)
異動後職名 氏名 前職
厚生労働事務次官 辻  哲夫 厚生労働審議官
厚生労働審議官 上村 隆史 職業能力開発局長
大臣官房長 太田 俊明 政策統括官(労働担当)
雇用均等・児童家庭局長 大谷 泰夫 総務省大臣官房審議官(公営企業担当)
政策統括官(社会保障担当) 薄井 康紀 内閣府大臣官房審議官(経済財政運営担当)/内閣府本府「道州制特区」推進担当室長併任
大臣官房総括審議官 宮島 俊彦 大臣官房審議官(医政、医療保険担当)
大臣官房政策評価審議官 中野 雅之 大臣官房地方課長
大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当) 村木 厚子 大臣官房政策評価審議官
雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長 藤井 康弘 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室長
大臣官房総務課企画官/雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室長併任/雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長併任 伊原 和人 大臣官房総務課企画官/社会・援護局障害保健福祉部併任
雇用均等・児童家庭局保育課幼保連携推進室長併任 度山  徹 雇用均等・児童家庭局総務課少子化対策企画官/雇用均等・児童家庭局総務課少子化対策企画室長併任
辞職 戸苅 利和 厚生労働事務次官
辞職 塩田 幸雄 政策統括官(社会保障担当)
中央労働委員会事務局長 北井久美子 雇用均等・児童家庭局長
大臣官房審議官(医政、医療保険担当) 白石 順一 大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当)
労働基準局労働保険徴収課長 清川 啓三 雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長
保険局総務課老人医療企画官/保険局総務課高齢者医療制度施行準備室次長・老人医療企画室長併任 山本 麻里 大臣官房総務課企画官/雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室長併任/雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長併任

第60回記念全国児童養護施設長研究協議会の開催、および顕彰・表彰のご案内について

 「第60回記念全国児童養護施設長研究協議会」については、7月下旬に「開催要項・参加申込書・研究部会発表募集のご案内」をお送りしております。研究部会発表募集は、9月1日(金)〆切でありましたが、引き続き受け付けています。ご希望がある場合は、全養協事務局までご連絡ください。
また、「永年勤続感謝」「児童文化奨励絵画展」「研究奨励(松島賞)※全養協協議員のみに送付」につきましてもあわせてご案内しておりますので、再度ご確認くださいますようお願いいたします。

※第29回児童養護施設職員研究奨励賞(松島賞)の募集について
松島賞の募集につきましては、9月1日(金)〆切でありましたが、引き続き受け付けています、ご検討されている研究がありましたら、事務局にご連絡ください。

調査研究部「平成17年度進路調査」(平成18年3月実施)速報値から

 調査研究部が実施した「平成17年度進路調査(平成18年3月実施)」を現在集計しております。本調査の結果は、第60回記念大会にて最終報告を行う予定ですが、調査2「児童養護施設在籍児童の高等学校(全日制・定時制課程)卒業後の進路に関する調査」において伺った「各種奨学金の活用状況」についてお知らせいたします。


 表にあるように、全国の児童養護施設入所児童に対して助成を行っている「JOMO奨学助成事業(支度費として新入学生に対し10万円を助成)」と、「雨宮財団修学助成(入学金のみ)」(※共に返済義務はない)の活用状況は、5割程度と予想以上に活用されていないという結果です。
 児童養護施設退所児童にとって、「自立支援」の一つの手段として活用度の高い助成制度です。再度都道府県内の児童養護施設に対し、あらためて周知いただきますようお願いいたします。

※ 平成18年度「JOMO奨学助成事業要綱」は、12月頃各児童養護施設宛に送付する予定です。
※ 平成18年度「雨宮財団修学助成要綱」は、7月下旬に「大会開催要項等」の郵便物に同封しています。

その他

植山つる児童福祉研究奨励基金について(9/8〆切)
 児童福祉の実践処遇の仕事に情熱をもやし、自らの技術と専門性を高め、積極的に研究活動に励む、保育士等児童福祉施設に働く職員の研究活動を奨励し、研究費の一部を助成する「植山つる児童福祉研究奨励基金」(研究期間は1年間)について、先般各児童養護施設に直接「募集要綱」をお送りしたところです。
 今年度の基金申し込み締め切り(9月8日)が近づいていますので、ぜひお申し込みをご検討ください。なお締切期日等でご相談の際には、事務局まで直接ご連絡ください。